1. 東部戦線の危機と「完全防衛」構想。1943年末までに、第三帝国は戦略的主導権を完全に失い、全面防衛に転じた。ドイツ軍の将軍たちは、ソ連戦車軍による大規模な突破を恐れていた。ドイツ軍は、敵戦車の先鋒部隊を決定的な距離で阻止しつつ、自身は完全に無敵でいられる兵器を必要としていた。ヤークトティーガーの正面装甲は250mm厚で、その巨大な128mm PaK 44砲は、ソ連(IS-2)やアメリカ(シャーマン)の戦車を2.5~3キロメートルの距離から、反撃をかわしながら貫通することができた。ヒトラーの考えでは、丘に陣取った1両のヤークトティーガーだけで、敵戦車旅団全体の進撃を阻止できるはずだった。